“ほしい”から広がっていく、心豊かな暮らしを。「ANA FINDS」発足の経緯と目指す世界
2024年2月、ANAグループの総合商社 全日空商事の商品ブランド「ANA FINDS(エイエヌエーファインズ)」が誕生しました。世界や日本の“良いモノ”を知るANAグループ社員たちの目利きで集められた食品やバッグ、雑貨を中心に、上質で洗練されたものを提供するブランドです。
具体的にどんなアイテムがあり、どのような背景で生まれたものなのでしょうか。そして「ANA FINDS」が目指す未来とは? 本プロジェクトのリーダーである、全日空商事リテール戦略推進室副室長の牛尾隆之さんに詳しい話を聞きました。
「モノがあふれる現代だから、あえて始めた」 ほしい、が見つかるブランド「ANA FINDS」とは?
—— 「ANA FINDS」とはどんなブランドなのでしょうか?
一言で言うと「日本全国・世界各地から選び抜いた品揃えで、『ほしい』が見つかるブランド」です。
これまでも全日空商事グループでは、「ANAショッピング A-style」のオリジナルバッグブランド「ANA DESIGN」や、ANAフーズの「A-selection」「旅する食卓」など、さまざまな商品ブランドを展開してきました。複数ある既存ブランドを「ANA FINDS」という新ブランドに統合し、さらに商品を強化したんです。
商品カテゴリーとしては「グルメ(食品)」「バッグ&トラベルグッズ」「ライフスタイル(雑貨)」の3つがあり、将来的には地域メーカーや職人とタッグを組んでオリジナル商品の開発も行う予定です。皆さんにとって、「『ANA FINDS』であればほしいものが見つかるよね!」という位置付けにしたいと考えています。
——なるほど。モノもコトもあふれている今、なぜ「ANA FINDS」を立ち上げようと?
今は情報があふれている上に、リアル店舗やECも大型モール化していますよね。便利な反面、ほしい商品に辿り着くまでに時間がかかる。そういう状況の中、「ここに行けばワクワクする商品に見つかる」「ここで何かに出会える予感がする」という、ほしいものを見つける“過程”そのものを楽しめる場が必要だと考えたんです。
また、ビジネスの視点で見ても、コロナ禍を経た環境の変化などにより、全日空商事グループのリテール事業に共通して、お客さまに真っ先に選んでいただける「コアコンテンツ」を確立することが急務となっています。だから「ANA FINDS」は、ANAや空港を利用される方はもちろん、贈り物に迷っている方、お取り寄せが好きな方、自分の暮らしにこだわりを持っている方など、あらゆるお客さまに私たちの商品を知ってもらうきっかけになればいいなと思っています。
ほしい、が見つかる。ANA FINDSのブランドサイト
「勝負はこれから!」 全日空商事グループ全体を巻き込んだ一大プロジェクトの舞台裏
——牛尾さんは「ANA FINDS」のプロジェクトリーダーとして奔走されたそうですね。一番大変だったことは何でしたか?
僕はリーダーというより、全体の調整役として動いたんです。その中で意識していたのは、組織に染み付いている縦割り文化を払拭するために、各方面に「ANA FINDSは、全日空商事グループ全体の取り組みなんだよ」と理解してもらえるよう伝え続けることでした。
——大企業でよく立ちふさがる壁でもある「縦割り」を払拭するのは、かなり難しいことなのでは?
難しいです(笑)。そもそも、3社合同(全日空商事、ANA FESTA、ANAフーズ)のプロジェクト自体がグループ内で初めてなんですよ。プロジェクトメンバーも3社から数名ずつ参加していて、みんなコミュニケーションを取りながらよく頑張ってくれています。でも、やっぱり「自分の会社に良いようにしたい」という思いはあるから、ふとした時に自社の利益を優先した考え方をしてしまうんですよね。
——それをどうやって調整するんですか?
現場に何度も足を運び、僕自身の言葉で説明をして、さらに打ち合わせを何度も重ねてきました。全日空商事の経営陣やANAグループ内の関連各所への説明はもちろん、試食会を開催してANAグループの仲間たちに商品を試食してもらったり、新たに開発したバッグを手に持ってもらったりもしています。
ただ、これらは全て始まったばかりのことで、今後も束になって「『ANA FINDS』をやる意義」を伝え続けることが大事だと思っています。グループ会社がたくさんあるから、どうしても縦割りになってしまいがちなんですね。そういう歴史の中で仕事をしてきたので、気を抜くとすぐに戻ってしまう。勝負はこれからだと思っています。
——「ANA FINDS」を立ち上げる過程で、牛尾さんが最もワクワクしたことも教えてください!
やっぱりおいしいもの、いいものにたくさん出会えたことですね。僕はテレビのグルメ番組が好きで、食べたいもので旅先を決めたりするんです。富士宮焼きそばを食べたくて富士山の麓まで行ったり、金目鯛の煮付けを食べたくて伊豆に行ったり。出張時にはご当地グルメを欠かさないし、自分では食に詳しいと思っていました。
でも今回、まだまだ知らないものや食べたことのないものがたくさんあるんだ!と実感したんです。今後もさらにおいしいものや良いものに出会えるだろうし、それを皆さんにご紹介できることにワクワクしています。
「四六時中、食べることばかり考えているんです(笑)」 “ほしい”に出会うプロセスが人生を豊かにする
——「ANA FINDS」のキャッチフレーズは「ほしい、が見つかる。」ですが、牛尾さんは自分の「ほしい」を探す醍醐味はどこにあると考えていますか?
僕は食べることが大好きで、四六時中、食べることばかり考えているんです(笑)。スーパーに行くのも大好きで、いつも全ての列をくまなく見て歩きます。そうして食べたことのないものや地方の商品、輸入品などを見つけ、おいしそうだなと感じたものを買うことが何よりも楽しい。それが実際においしかったら、その商品のためだけにそのスーパーに行くことも珍しくありません。このソースを買うためにこっちのスーパー、あの青のりを買うためにあっちのスーパー、という感じで。
——すべての列を見て歩くのはすごいですね。牛尾さんがどれだけスーパー好きか伝わってきます(笑)。
土日になると、スーパーの駐車場で退屈そうに車の中でスマホをいじっている男の人がいるじゃないですか。カミさんが買い物を終わるのを待っている人。本当にもったいないと思いますね。僕だったら、カミさんと一緒に隅から隅までスーパーを回りたい!
ほしいものに出会うまでのプロセスって、大事だと思います。探したり迷ったりしながら、自分が「ほしい!」って思えるものに出会えた時の喜びはひとしおじゃないですか。「ANA FINDS」は、僕たちが本当に良いと感じたものだけを集めたブランド。皆さんにも自分の「ほしい!」を見つける楽しさやワクワクを感じてもらえたら、本当にうれしいですね。
「ほしい!」が広がると、ダイバーシティな世界になる
——ちなみに、牛尾さんがそれだけ食に興味を持つようになったのは何がきっかけだったんでしょうか?
最初のきっかけは思い出せないけれど…… でも初めて仕事で食を担当したのは、20年ほど前に羽田空港の第2ターミナルができたときでした。当時、第2ターミナルに出店する「ANA FESTA」の全飲食店の計画から出店まで担当し、初代店長を勤めさせていただいたんです。その関係でいろんなお店を食べ歩いて、今思えば、いつも厨房が見える席に座っていた記憶があります。食はずっと好きだったんだけれど、仕事で関わることになって初めて自分の「ほしい」に気づいたのかもしれません。
店長になって一番食べていた頃は、毎日のように試食会をやっていました。今日はおにぎりの試食、明日はパスタの試食、あさってはラーメンの試食…… といつも食べるものが決まっていて。それが続いた時期は食べることが楽しくなくなったときもありました。
それでどうしたかというと、今度は作るほうに目覚めたんです(笑)。自分で作った料理を誰かがおいしいと言ってくれるのって、相当うれしいし、楽しいんですよね。キャベツの千切りってすごくストレス発散になるんですよ、分かります? あのサクサクって感じ。今は、食べることも料理することも大好きですね。
——素敵な話です。では最後に、今よりもっと多くの人が自分の「ほしい」を見つけられたら、世界はどんなふうに変わると思いますか?
「ほしい」を核としたコミュニティが形成され、広がり、個人それぞれの価値観で気持ち豊かな暮らしを送る人が増えたら、ある意味それはダイバーシティが広がることにもなると考えています。ということは、自分の「ほしい」を明確に分かっている人が増えたら、世界は良くなるんじゃないでしょうか。
——とすると、そういった世界には、上質なものを常に発信・提供する信頼できる存在が必要ですね。
そうですね。モノや情報があふれ、模造品やフェイクニュースはこれからもどんどん増えるでしょう。そういう時代だからこそ、長年皆さんから信頼を寄せていただいてきたANAがこうした取り組みをすることに意味があると思うんです。「ANA FINDS」はANAの信頼を最大限、背負わせてもらいながら成長させていきたいと考えています。
ブランド第1弾としてまずは67商品からスタートしますが、今後は皆さまにワクワクしてもらえるオリジナル商品の開発に注力して商品を充実させていきます。ぜひ、あなたの「ほしい」を見つけてくださいね。
ほしい、が見つかる。ANA FINDSの商品は「ANAショッピング A-style」で取扱中
写真:池ノ谷侑花
文:山田宗太朗
編集:エクスライト、ヤスダツバサ(Number X)
ANA FINDSを創るメンバーの"ほしい"の裏側